ブタペスト春の音楽祭 凱旋コンサート  〜東京・名古屋公演〜

2009年春、ハンガリー・ブタペストで演奏したメンバーを招聘して行われた凱旋コンサート。(27,29 Aug.2009)

忘れないうちに、今回のプログラムを記録。

【第一部】(中垣雅葉)

1.月光の煌き(中垣雅葉)
2.華やぎ(三木稔)
3.Memory(中垣雅葉)
4.夢幻(中垣雅葉)
5.Annaへの詩情(中垣雅葉)
6.Sprite

【第二部】(大田佳弘)

リストの嵐でございました

【アンコール】

・月の光(ピアノソロ:大田佳弘)
・月の光(Kotoソロ:中垣雅葉)
・ハンガリー舞曲第5番(全員)(編曲:中垣雅葉)

そもそもこのコンサートは、私の事務所主催のKotoNouveauが発端である。
この夏(2009年)に企画していたコンサートの一部に、ピアニストの大田佳弘さんをゲストで招いて、ハンガリー凱旋公演コーナーを作ろうという話から始まった。 春にいってきたハンガリーのブタペスト音楽祭。そこで演奏してきた曲目をこのコーナーでやって、大田さんにもソロをやっていただいて、ハンガリーのお話をして・・・みたいな感じ。 と予想していたら、あれよあれよというまに、Act4さん主催での凱旋公演という大きな形でできることになりました。しかも、東京1公演、名古屋2公演。 共に、TOYOTAレクサスさんの協賛のおかげが大であった。東京公演では、他に、AS Collectionさん、カシオさんの協賛も得られた。

3公演とも同じプログラムでした。東京公演では、ホテル日航東京さんで。名古屋公演では、宗次ホールさんで。 どちらも素敵なホールでした。久々にホールでやったから、名古屋のほうが少し緊張したかもしれません。リハーサルの時の話ですけどね。

さて、東京公演。最初のコンサートで、みんな緊張気味。私は、音響さんがいつもの戸田音響の藤岡さんだったので安心して演奏できました。 場所も、ホテルの中なので、いつものイベントで慣れた雰囲気。私の土俵?みたいな。(いいすぎですね)
1部は、私なのですが、当初、ソロの「華やぎ」からいこうとおもってましたが、Gayo Worldの雰囲気を作るためにも、「月光の煌き」を選択しました。 CDの曲順もコンサートと同じ流れで構成してあります。

1曲目の「月光の煌き」。リスト音楽院在籍中の星野智也さんのチェロとのDuoです。
深い森の中、立ち並ぶ木々の合間に小さな池がある。ある時間になると月の光が差し込んでくる。湖面に反射してキラキラ光るその情景を、Kotoとチェロで表現した曲。 差し込む光をチェロで、反射する光をKotoで。戯れたあと、また暗闇へと戻っていく。時間にして1〜2時間の逢瀬なのか。天気が良いときじゃないと逢えない。明日も同じ時間に逢えるといいねという想いを残して終わっていく。 そんな曲です。
星野さん、ハンガリーのときより断然よくなってましたよ!ありがとう。

2曲目の「華やぎ」。これは二十絃箏ソロ曲。三木稔作曲です。
二十絃を19歳で始めたときのきっかけの曲。この曲をレコードで聴いて、Kotoの可能性を追求しようと決意した。 自分の中では大事な曲。某新型インフルエンザから回復したのが5日前で、筋力気力ともに落ちてましたが、その中でもできるベストの演奏をしたと思います。 こういう曲を聴いてもらえるようになった今の環境がうれしいです。

3曲目、「Memory」。ピアノと箏のDuo。ピアノは、ハンガリー音楽院在籍の菊地玲子さん。
作曲したきっかけは、ティファニーの展覧会をみた印象。キレイに輝く宝石たちの想いをメロディーにした。 ピアノの手付けは、石原鼓緒太さん。(いつもライブを一緒にやってる筋肉マニアのピアニスト)
素敵なファンタジーチックな曲調に仕上がりました。菊地さんも、ハンガリーにいたころより(って数ヶ月前の話なのにね)断然と成長した人。 若さって素敵ですよね。成長してるのがはっきりとわかるもの。 私もがんばらないと。と刺激を受けつつ、彼女の情感豊かな演奏に感動。ありがとう。

4曲目は「夢幻」。これは今回初披露の新作です。しかもヴァイオリンとKotoのDuo曲。ヴァイオリンは、今年3月、リスト音楽院の大学院を首席で卒業した井上奈央子さん。
首席ですって。凄いですね。凄さがわかっていなかった私でしたが、音色を聴くだけでわかっちゃいましたね。ヴァイオリン嫌いだった私が好きになったもの。 それだけでどんだけ凄いか・・・。脱帽。
この曲は、タイトルのごとくなんですけど、作るにあたってはいろいろな複雑な想いがからまりました。
どこかに原稿を残しておくので、私が死んでから作った意図などは、お伝えします。とかいっちゃったりして。 井上さんにしか話していないので、まぁ、私に何かあったら、彼女に聞いてください。 新作発表は、緊張しましたが、素敵なヴァイオリンとKotoのDuo。楽しかったです。ありがとう。

5曲目、「Annaへの詩情」。初めて書いたのかな?二十絃Solo曲。ハンガリーでの短い滞在に思いをはせて。
ハンガリーの国旗が三色旗で、上から「赤」「白」「緑」。赤が血塗られた歴史を。白がハンガリー人の純粋さを。緑が平和への祈りを。 それぞれあらわしているそうです。思いっきりそのまま、A-B-Cという構成で作りました。
Aパートは、過去の戦いへ思いをはせた感じに。Bパートは、優しい、純粋なハンガリーの人たちを表現。Cパートは、活力あふれるこれからのハンガリーに希望を込めて。 無事に演奏できたかな。自分で作っておいて、何気に1箇所・・・難しいところが。いや、難しいと感じるのは私の技術が衰えたからか。

6曲目、最後の曲は、「Sprite」。最近最後によく演奏してますが、今回のバージョンが、最終決定となりました。 ようやく、ようやくSpriteの楽譜が音譜で完成。(いままではコード譜だった)
編成も、今後をふまえて、「Koto+Violin+Cello+Piano」で確定しました。楽器は入れ替え可能ですから、臨機応変に。 最終編曲するにあたり、ちょこちょこかえたけれど、若い3人は、ついてくる。さらっと簡単に演奏する。 実力ある3人でした。ありがとう。

そして休憩に入り、大田さんと交代。大田さんは、バリバリにリストの嵐で演奏していました。怖い人です。普段は・・・アレなのに。 東京公演では、特に後半二曲が素敵でした。なんか彼の演奏では珍しく、情熱を感じました。 私は、彼の演奏、こういう感じのほうが好きだなと、しっかり本人にいったら、「普段はだめってことですか」とか言われて・・・。 言葉に窮しました。お茶目な大田さんであった。

コンサートのアンコールで、「月の光」(ドビュッシー)があった。
大田さんが二部だったので、そのままアンコールの形で演奏。そのあと私が二十絃箏で演奏。
え?ちゃんとした月の光(原曲)のあとに、私の編曲した月の光ですか!めずらしく、舞台のそでで、演奏したくないな・・・と駄々をこねてました。 ドビュッシーさんがどう感じるか・・・久しぶりに演奏したくないなとかんじましたよ。(それを名古屋でも2回やった)
そして最後に、全員で「ハンガリー舞曲第5番」。これは大田さんが推薦して、私がアレンジしたもの。 ピアノのソロ譜をいただき、バイオリンのソロ譜をいただき、スコア譜を買ってきて、構成を決めて、Keyを決めて。 Kotoが簡単に演奏できるようにして・・・(アレンジャーの特権じゃぁ)。
なかなか、面白くできたと思います。みんな笑顔でていたでしょ。私はこのアンコール結構楽しくてね。 普段ソロが多いから、こうやって大勢でアンサンブルするのうれしい。20代に戻った感覚。 そんな素敵なコンサートがこの曲をもって終わりました。

終わったあとは、レインボーブリッジのみえるテラスでのパーティー。私は挨拶周りしていたら、それでいつのまにか0時をまわっていました。 一気に疲労感が襲ってきて、1時半に帰宅。就寝。メンバーの人たちとゆっくり話ができなかったな。

翌日28日は、名古屋への移動日。新幹線。えっちらおっちら。荷物抱えていきました。

夕方から、サウンドチェックというものがあり、宗次ホールさんにてマイクの調整。 ノーマイクでやりたいのですけど、Spriteのときに、Kotoが消えてしまうのでね。しょうがない。 でもよく響くホールなので、「華やぎ」ソロは、生音でやりました。 なかなか繊細な音がでるんですよ。Kotoは。

昼、夜と1公演ずつ終わり、それぞれレクサスさんのお店に移動してトークショー。 最後なんて、私ははじけてしまい、何をしゃべったのか。忘れました。なんかくだらない話をしてしまった記憶がかすかに。 忘れた忘れた。

その夜は、まったりして、翌日東京へ。荷物は全部送ってしまったので、カバン一つで楽チンでした。

なんと、大事なファンの方一人が、この3公演を全部きてくださいました。びっくりしたのと感動ですね。 どこの演奏が一番よかったのか、怖くてきけませんが、3回とも楽しんでいただけたようでうれしかった。 ありがとうございました。

最後になりますが、ハンガリー一連の動きを支えてくださった、Act4さんと事務所のアイアンドエムさんには感謝いたします。 2年前から、クラシカルな楽器との方向にチェンジしたのが一つ実を結んだことになりました。 今後も曲を書いて、どんどんやっていきたいと思います。

ハンガリーでもお世話になり、今回のレコーディング、そしてコンサートとお世話になった、井上奈央子さん、菊地玲子さん、星野智也さん、心よりありがとうございました。 遠く日本から、お辞儀をしているGayoです。

そんな楽しい2009年の夏、そして、いろいろみえてきた2009年の夏となりました。感謝。

Gayo


【MAIN PLAYER】
・中垣雅葉(箏)
・大田佳弘(ピアノ)
【SUPPORT MEMBER】
・井上奈央子(ヴァイオリン)
・菊地玲子(ピアノ)
・星野智也(チェロ)